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曖昧な温もりが とびきりふわふわとしたものが ある日ぼくらふたりを化けものにした 春の陽気のせいだか 花の香りのせいだか もう今となっては思い出せないけれど

あなたを攫った秋の風が吹いて、わたしはひとつ歳をとりました。お元気ですか、愛した人よ

きみが産声を上げるずっと前の そのまた昔 ぼくがまだ銀河をたゆたう ちいさなちいさな星だったころ

足元を見てごらん。ぼくらは秩序と混沌のあいだにいる。それは還らない永遠、終わらないメルカトル、夢にまで見た酔いそうなほどの黒 黎 くろ 玄 クロ 苦労とほんの少しのコドク、それからO2のやわらかさ 愛してしまった 無重力の冷たささえも

そこはもうずっと 鉄のにおいがしていること ぼくはしっていたのに

わからなかった。言葉にならない何かが、ぼろり、ぼろりと欠落していく。

「それでもいいよ」 きみが零した一番悲しい響きを知っている。

きみがまるでぼくの言葉のわからない、おろかな猛獣だったとしても きみを見棄てたりなんかぜったいしない その牙をといであげるし 首元にサテンのリボンもむすんであげる 噛み付いたって良いよ きちんと叱ってあいしてあげる

きみが良い理由はたしかにあった。いくつもあった。だけど、きみでなくちゃダメな理由はどこにもなかった。

スリッパの左右をまちがえた時のような違和感が すこしずつ すこしずつ 積み重なって ちいさな塔になるころには あなたはもうきっと此処まで上っては来れないでしょう

月なんてすこしも見えない夜 の 苦し紛れの くちづけは 彼の腕時計の秒針の正しさに似て、